都内中心部に位置する由緒ある会員制クラブの施設にて、ニュージーランドの有名ワイナリー「アタ・ランギ」と「フェルトン・ロード」からワインメーカーが来日されてのセミナー&試飲会です。
「ニュージーランドは、間違いなく今後世界で最も注目されるべきワイン産地の一つだ!」と感じたセミナー&試飲会でした。
ニュージーランドワインに長い歴史はありませんが、ワイン造りへの理想、技術そして環境と、ホントに何から何まですばらしいのです。
二つのワイナリーともに共通するのは、「果実味が凝縮したようなビッグなワインは造らない!」「フィネスやエレガントさのある余韻の長いピュアーな味わいを目指す!」「量より質を重視する!」などの明確なワイン造りへの方針。
先ずは「アテ・ランギ」から。
【アタ・ランギ 醸造家のヘレン・マスターズさん】
ヘレンさんは非常に聡明な印象のチャーミングな女性。先代のクライヴ・ペイトンさんの姪で高校時代からアタ・ランギとかかわっているのだそうだ。
「アタ・ランギ」といえばやっぱりピノ・ノワールですが、このピノ・ノワールはロマネ・コンティから持ち帰ったものというのも有名な話らしい。
1970年代、ニュージーランドの税関職員で、オークランド近郊の自園でブドウ栽培をしていいたマルコム・エイベルが、ある日ニュージーランド人の旅行者がフランスのロマネ・コンティの畑に忍び込み、違法に持ち帰ったブドウの穂木を入国時に没収。そして検疫所で検査した後、それを自園の畑に植えたものがエイベル・クローンのはじまり。
そのエイベルさんからクライヴ・ペイトンさんが、その樹を購入して自分の畑に植たという、ややメチャクチャな流れなのですが、でもその樹は確かにロマネ・コンティから来ているようです。
アテ・ランギのワインの良さは、フィネスを感じる透明感のあるピュアーなエレガントさでしょうか。ミネラル感があり、しっかりとした酸で余韻が長い、ややドライな印象です。
また、アタ・ランギの素晴らしいのはピノ・ノワールだけではありません。シャルドネもまたピュアーでミネラル感あるキレイな味わいです。
ピノ・ノワールは2011年、2010年、2009年、2008年と試飲させていただいたのですが、結論から言えば「若いうちに飲んでしまうのは、本当にもったいない」と感じたレベルの高いワインでした。
より高い品質を目指すアタ・ランギでは殺虫剤、化学肥料、除草剤などは使用せず、調合剤やワイルドフラワー、地下の自然の土を掘り起こし散布するなど、サステナブルと一部バイオダイナミック農法を取り入れており、環境マネジメントシステムISO14001に認定されています。
ヘレンさんは「アタ・ランギ」のワイン造りでもっとも大事なのはバランスだと言います。特に収穫のバランスのよいタイミングと、発酵でのタンニン抽出のバランス。
収穫はかなり神経質になります。状態のよいものだけを収穫するピンポイント収穫です。このブドウの状態をみながらのピッキング・デシジョンが非常に重要で、ブドウの実が熟し過ぎればフィネスやエレガントさが失われてしまうのだそうだ。だから収穫はマーティンボローで一番早いとのこと。
またタンニンの抽出も重要でスイート・スポットと呼ばれる瞬間を見定めるとのこと。
現在アタ・ランギの樹齢は平均22年で最も古いのが32年。樹齢が古くなるほどにワインの味わい良くなっていくと言われますが、非常に将来性のあるワイナリーだと感じた次第です。
いつか本家を超える日が来るのか!?
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カテゴリー:ワイン