賢者の贈りもの!?間違いなく賢者からの贈りものなのです!
これはもう、麦焼酎のグラン・バンとでも称されても、まったく不思議ではない水準。酒屋のおやじにとっても、この旨さ、ただごとではないのであります!
製造元は石川県の日本発酵化成。この会社、藤野公平さんと言う方が、生まれ故郷の能登で創業され、昭和35年頃から麦焼酎の製造に全力を注ぐようになったとの事。何でも能登は平安時代に蒸留酒の技術が日本で初めて伝えられた場所なのだそうです。
藤野公平さんには、焼酎造りに関して不動のポリシーがありました。それは、単に安くて速く酔うだけの従来の焼酎を否定し、”もろみで1年間寝かせた後に蒸留し、蒸留後最低10年以上熟成させるまでは世に出してはならぬ! ”というもの。そして終始一貫、己のポリシーを固守して焼酎造りを続けてきた公平さんは、全財産を焼酎に投じた挙句、忽然と世を去ったのでした。
この公平さん、県議会議員を四期務めた末に、晩年、参議院選挙に打って出て落選。大変な借金をこしらえ、全財産差し押さえ。二百数十本の焼酎タンク全部に赤札が貼られてしまい、焼酎を売りたくても売る事ができなくなってしまったのでありました。つまり、公平さんが遺した焼酎の熟成年数は税務署の保証付きなのです。
このオー・ヘンリーの名前は、故・池波正太郎の元・書生であった鉢山亭虎魚氏(はちやまていおこぜ)が命名。この先生、食に関する執筆をされているのですが、飲むのは、もっぱらオー・ヘンリー。これほど料理のジャンルを選ばぬ酒は他にないのだとか。
O.Henry 15years(オー・ヘンリー15年)28度 750ml 5,250円
国内産の大麦100%のもろみを1年以上寝かせ、減圧蒸留機で通常の倍の時間をかけてゆっくりと蒸留し、樫樽でまず1年間寝かせ、その後ホーロータンクに移してさらに15年熟成させたもの。
味わいは、ひじょーにまろやか!デリケートで澄んだ味わい。印象としては程度の良いワインとブランデーの中間みたいな感じ。ひょっとすると、普段、個性の強いシングル・モルト ウイスキーなどを飲みつけている方には、柔らか過ぎちゃうかもしれません。酒屋のおやじはには、スゴク美味しく感じるのですが。
このオー・ヘンリー、結構、こだわりのお蕎麦屋さんのメニューに載っていたりするんです。酒倶楽部ステップでも、こだわりのお蕎麦屋さんから問い合わせを受けて仕入れました。多分、鉢山亭虎魚先生の本などが影響しているのだと思います。もちろん天ぷらやお蕎麦との相性はバツグン!!
オー・ヘンリーをご購入頂くと、中に小さな本で、鉢山亭虎魚先生の「私的O・ヘンリー日記」が入っております。その中の1つをご紹介致しましょう!
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某月某日
酒を飲まぬくらいなら蕎麦屋なんぞに入るな・・・これが亡師・池上正太郎の口ぐせだった。不肖の弟子ながらこの教えだけは忠実に守っている。しかし蕎麦前も近頃はぬる燗の日本酒とは限らず、O・ヘンリーがあればO・ヘンリーを飲む。というよりはO・ヘンリーを置いていない蕎麦屋へは、まず行かない。
実際のところ、「ほそ川」一本槍である。ほそ川で名物「蕎麦豆腐の揚げ出し」を肴にO・ヘンリーを飲んだら、もう他の蕎麦屋へは行く気がしない。いささか遠いが、きょうも行った甲斐はあった。
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やるんかな、この稀代の佳酒にも一つだけ難がある。うますぎて、ついつい飲み過ぎること。だが流石、年代物の焼酎。他の酒だったら翌朝枕から頭が上がらないほど飲んでも、必ずスッキリ上機嫌で目が覚めるのだ。
尋常でない美味しさなのであります!!
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