中華系が主導した2011年6月のボルドーワイン・バブルのピークから4年以上経過。
2014年7月に底打ちしたとみられるボルドーワインをメインとする高級ワイン市場は、はたしてボルドーワイン・バブル崩壊の負の影響を払拭し、健全と呼べるような市場環境に戻ったのか?
昨今の世界の金融市場の混乱は、ワインの収集や投資に影響を与えるのか?
高級ワインの業者間取引サイトであるLiv-exでは、いったい何が起きているのか?
・・・・・・・・等々、そんな高級ワイン取引の状況を、酒屋のオヤジなりに推察します。
【高級ワイン・インデックスの2010年10月から2015年10月末までの推移】
高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、10月末の時点で240と9月末と比べて2ポイントの値下がり。
Liv-exの取引で10月に最も値上がりした銘柄、最も値下がりした銘柄ともにブルゴーニュだった。
最も値上がりしたのがドメーヌ・ポンソ クロ・ド・ラ・ロッシュVV2012で、9月の中旬から23%の上昇で1ケース£3,937。その反対に最も値下がりしたのがアルマン・ルソー シャンベルタン2012で、9月の中旬から11.6%の値下がりで1ケース£9,555。
またDRC ラ・ターシュ2010と2009も買われて13.4%高の£20,740、6.2%高の£20,606まで上昇。
Ch・モンローズ2010も、2009と比較しての割安感から引き続き買われて5.6%高の£1,638に上昇。
取引シェアではシャンパーニュの取引がブルゴーニュを抜いて、ボルドー、イタリアに続き3番目に大きく取引された。シェアを落としているブルゴーニュは、価格だけが暴れている印象だ。
インデックスがやや弱含んでいるのは、最近のユーロに対してのポンドの値上がりや、中国のワイン輸入業者が高値で仕入れたワインを安値で投げ売りしていることが影響していると推測される。
中国の輸入業者が高値で購入したワインでも、イギリスの指定倉庫に保管したままならLiv-exでの売却が可能になる。また、ユーロ建てでのワイン価格は変わらなくても、ユーロが安くなれば他の通貨ではワインの値下がりを意味する。
ちなみに通貨の変動によりワイン投資で、最もパフォーマンスの良いのが日本の円建て。3年前と比べてワイン価格が値上がりしているのは、主要通貨では円建てとユーロ建てのみ。
10月のワイン取引の大きなニュースとしては、ドバイの小売業者がCh・ラフィット・ロートシルト1895を1本$17,000で販売したこと。購入者の名前は公表されていないが、国際的なワインコレクターとのことだ。
ワインを選別する目は非常に厳しくなっているとみられる。しかし、供給が極端に限定されている稀少なワインや、アンダーバリューとみられるワインには安定した買いが入っている様子だ。
値下がり傾向にある円を自国通貨としている日本人は今、ワイン投資家として最も有利な立場にいるのかも知れない。
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投稿日:2015年11月6日
カテゴリー:
高級ワイン市況