中華系が主導した2011年6月のボルドーワイン・バブルのピークから5年以上経過。
2014年7月に底打ちしたとみられるボルドーワインをメインとする高級ワイン市場は、再び上昇傾向を強めいる。銘柄によっては2011年6月の高値を超えて取引されているものもある。
ワイン価格を上昇させている一因は、英ポンド安や人民元安などのマクロ経済による要因。
そんな金融市場の混乱は、ワインの収集や投資にどう影響を与えるのか?
また、高級ワインの業者間取引サイトであるLiv-exでは、いったい何が起きているのか?
そして、ワイン価格はこの先値上がりするのか?
・・・・・・・・等々、そんな高級ワイン取引の状況を、酒屋のオヤジなりに推察します。
【ワイン・インデックス2012年3月から2017年3月末までの推移】
高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、前月末から0.7%の小幅な上昇。
Liv-exで前例のない16ヶ月連続での値上がりとなった。前年同月比では24%の上昇。
2月から3月にかけて最も値上がりした銘柄はローヌの「ポール・シャブレ・エネ エルミタージュ・シャペル2012(WA 97)」で7.3%上昇して1ケース£997。続いてブルゴーニュの「コント・ジュルジュ・ド・ヴォギュエ ミュジニーVV2012」が6.5%の上昇で1ケースは£5,200。
一方、最も値下がりした銘柄は2月に大きく値上がりしたポムロールの「ヴュー・シャトー・セルタン2009(WA 99)」で7.3%値下がりして1ケースは£2,360。
現在もっとも市場が注目しているイベントは、伝説的なヴィンテージとなる可能性が高いと言われているボルドー2016ヴィンテージのアン・プリムールの動向。
ワイン生産者として、その”生涯を通じての最高のワイン”と呼ぶ人もいるほどのヴィンテージである。著名ワイン評論家も過去の伝説的ヴィンテージを超える可能性があるとコメントするほどだ。
もっとも早くリリース価格を提示したソーテルヌのCh・ギローは、2016ヴィンテージをユーロ建てで2015ヴィンテージと同じ価格に据え置いたようだ。しかし、英ポンド建てではもっとも高い2011ヴィンテージと同じ水準の価格となる。
本格的な2016アン・プリムールのリリース価格提示は、テースティングシーズンに入ってからの話となるが、かなり強気な価格提示となる可能性はある。
しかしその一方、Liv-exがアン・プリムールの値決めに関して新たな透明性のある方法論を提示しているとのことで、ここ数年のようなネゴシアンにとって多額の損失が生じるような高価すぎるリリース価格とはなりにくのかも知れない。
リリース価格が公平もしくは割安と市場が感じれば、その後のセカンダリー市場への影響はより大きくなると推測され、後者の方がよりワイン指数を押し上げるとも考えられる。
また、投資対象としても英ポンド建てワイン価格は、ゴールド、銅、株式などをアウトパフォームしている。金融市場の動向次第ではさらにワイン市場に資金が流入する可能性があるのかも知れない。
「Liv-ex Fine Wine 100」は16ヶ月連続で値上がりはしているが、最近は横ばいに近い上昇だ。2016ヴィンテージのアン・プリムールの動向を見極めるまでは、積極的な動きはなさそうだ。
※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります
投稿日:2017年4月6日
カテゴリー:
高級ワイン市況