「来る人、来る人、みんなですか・・・・(汗)!」。ここ数日間の店頭での問い合わせの80%以上は同じ日本酒について。
近年人気急上昇の山口県にある純米大吟醸蔵さんの日本酒です。「なんでみんなおんなじこと聞くんだろう?」って思って、ひとりのお客様にたずねてみたら、なんでも数日前にTVの番組で紹介されたのだとか。
斜陽傾向の日本酒業界にあって、このお蔵さんのお酒だけは凄まじい人気なんですね。
フルーティーで飲みやすくて、キレイな味わい。確かに素晴らしく美味しいお酒です。
当店、酒倶楽部ステップはいわゆる地酒の流通グループに参加しているわけでもなく、いわゆる有名銘柄をアドヴァンテージを持って扱えるような立場にはありません。
そんな、いわゆる地酒専門店でない立場の酒屋が誤解を恐れずにコメントさせていただければ、東京の有名地酒専門店さんなどが手がける、いわゆる有名ブランドの地酒の味わいも含めて、有名ブランドの地酒はなんだかみんな同じような方向の世界観を持った味わいばかりのような気がするんです。
たとえばフランスワインではボルドーあり、ブルゴーニュあり、ローヌありと様々なスタイルがあり、それぞれに人気があります。またスコッチウイスキーでも、上品なものから強烈な個性を持ったスタイルまであり、それぞれに人気があります。
画一的とまではいかないのですが、今流行りの同じような方向の世界観を持った味わいの日本酒有名ブランドの最高峰が山口県や山形県の酒ではないでしょうか。
でも本当は消費者の方々のお酒に対する世界観は見事にバラバラなんですね。酒屋にはそれがよくわかります。
たとえばワインが好きなことまでは共通でも、そこから先はみなさん見事にバラバラで、一般的には人の意見などにはまったく聞く耳を持ちません。マニアっぽい自然派ワインを愛している方々は、ボルドーの有名高級ワインのことを見下したりもするわけです。
またそれが嗜好品の世界なのだと思います。
酒蔵さんにとっては、いい酒だからといって必ず売れるとは限らないわけですが、いま流行りのスタイルの味わいの酒だけではなく、伝統や地域の特徴も含めて、いろんな個性を持った日本酒に目が向けば良いと思う次第です。
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