「モンドヴィーノ」というワイン市場のドキュメンタリー映画が10年ほど前に放映されました。
その映画の中でイタリア人のワインショップのオーナーは、「イタリア・ワインのほとんどがアメリカ・ワインになってしまった!棚に並んでいるのはイタリア産のワインだが、そのほとんどはアメリカ・ワインだ!」と嘆いていた。
戦後のあたりまでは、家族単位で作り続けられてきた、イタリア各地の土地に根付いた名もないワインが、ここ数十年の間の、アッという間にグローバリゼーションの波に飲み込まれて、そのスタイルを変えたのです。
しかしそれでもイタリアは偉大です。
おびただしい数のブドウ品種、おびただしい数のワインの種類、おびただしい数のパンの種類、おびただしい数のパスタの種類、おびただしい・・・・・・・・・・・と多様性に富んでいるのです。
だから、専門家は「まだ誰にも紹介されていない素晴らしいワインがイタリアにはたくさんある」といいます。
今イタリアワインで注目されているのは、いわゆるグローバルスタンダードの基準で選ばれたワインばかり。言い方を変えればアメリカ人好みのスタイルの、大資本が作り出した商業的ブランド力を持ったワインばかり。
ではそんな中で、なぜそんな商業ベースの調査レーダーにまったく引っかからないような素晴らしいワインがあるのか?
小規模でその土地やブドウを熟知した農家の造る伝統的な素晴らしいワインには、その地域やヨーロッパに昔からの固定客ついているからなのです。
宣伝したり他に販売する必要がないのです。
そんな、イタリア人に愛される伝統的で正統派の極上アマローネが、日本のファッション業界の人に発見され奇跡的に輸入されたのです。
【カヴェディーニ アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ DOC 2009】 AL16% 750ml 10,000円外税
このアマローネの生産本数はなんと666本だけ。小規模ながらこの地では有名な優良ワインメーカーなのだそうだ。
家族経営のカヴェディーニの長老は1924年生まれの89歳。7歳のときからワイン造りを手伝い始め、今でも年間を通じて一日もかかさずブドウ畑の状態を確認するのが日課。
「良いワインは良いブドウ畑から」という昔からのワイン造りの掟を忠実に、そして確実に守り通しているワインメーカーなのです。
このワインを試飲させていただいたときには、「これほど美味しいアマローネを今まで飲んだことがない!」と素直に感じました。また「今までのアマローネに対して持っていた味わいのイメージが間違っていたのだ!」とも感じました。
いわゆるグローバルスタンダード基準のワインの味わいを「マリリン・モンロー」とするなら、この伝統的なカベヴェディーニのワインは「オードリー・ヘップバーン」のイメージ。伝統的なイタリアワインらしいエレガントさがあるのだと思います。
カヴェディーニでは、自らの積極的なマーケティングは一切行っておらず、ホームページもない。しかし昔からの固定客が存在し、生産したワインは毎年ほぼ完売。地元や地元のレストランのほか、ドイツ、オランダ、ノルウエーに売られていくのだそうだ。
偉大なるローカリゼーション・ワインなのです。
イタリア人の愛する「オードリー・ヘップバーン」のようなエレガントさを持った正統派極上アマローネは如何でしょうか?
日本人の舌に合う味わいだと思います。
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