先週の土曜日、
吾妻橋のアサヒビール本社で
ニッカウヰスキーのセミナーに参加してきました。
久しぶりの浅草 観光客で賑やかです。
スカイツリーがとってもキレイなので 思わずパチリ!
「 ニッカウヰスキーは なぜ世界に認められたのか 」
というテーマで
講師は
アサヒビール マーケティング本部の
ウィスキーアンバサダー 本田雅之さん。
東北大学を 卒業され
ニッカウヰスキー社に 入社。
余市の研究所に配属。
創業者の竹鶴政孝さんとも
直接 お話されたこともあるとのこと。
(それも あのニシン御殿で)
その後、
ニッカ社のいくつかの工場長もなされています。
NHKの連続テレビ小説「マッサン」では
ウィスキーアンバサダーというお立場から
撮影に アドバイス、ご協力されたそうです。
今回のセミナーも
「マッサン」の裏話 満載の
楽しい講義でした。
ウィスキーアンバサダー 本田さんと。
本田さんのお話から
ニッカウヰスキー 創業者の
マッサン こと 竹鶴 政孝 さんの
真面目さや ウィスキーに対するこだわり
そして かっこ良さを 知りました。
すごくモテたんじゃないかって話です…。
写真は 竹鶴 政孝さん(マッサン)が
お亡くなりになる数年前のものだそうです。
ドラマ「マッサン」でも 描かれていました。
マッサンは
寿屋(現サントリー社)の 山崎蒸留所の創設にも
携わりましたが、
本場スコットランドに似た冷涼な気候での
ウィスキー造りにこだわっていました。
冷涼な気候が なぜ ウィスキー造りには必要なのでしょう。
一つは 「ウィスキーの香り」のため。
日本酒でも その芳香成分のひとつである
酢酸イソアミル。
いわゆる吟醸香で
バナナやメロンなどの果実の香りがする成分です。
この酢酸イソアミルは 温度が上がると
揮発しやすいそうで、
冷涼な気候で醸造・貯蔵すれば
その香りがとんでなくなるということがないとのこと。
二つ目に 「樽熟成によるタンニンの抽出」のため。
ウィスキーに欠かせない樽熟成では
樽から タンニンという渋味成分がウィスキーに溶けこむのですが、
気温が高いところだと
タンニンも必要以上に抽出されてしまい、いい塩梅ではないとのこと。
日本茶を入れる時も、
熱湯ではなく、少し冷めたお湯を
急須に注ぎますよね。
これも 同じ原理で
熱湯を茶葉に注ぐと
苦味成分である 茶カテキン(つまりタンニン)が 出てしまうが
ぬるま湯を注ぐと
旨味成分である テアニンが抽出されるのだそう。
これが マッサンが北を目指した理由です。
北海道のなかでも 余市を選んだのは
ドラマのとおりに
ウィスキー造りが軌道に乗るまで
リンゴで日銭を稼ぎたいという思いの他に
日本海に面した余市は
磯が多く、昆布やわかめが たくさん獲れます。
その海からの風には
DMS(硫化ジメチル)という 海藻やプランクトンから生まれる成分が
含まれていて
その成分が ウィスキーに 潮っぽさ、ソルティーさを与えれるとのこと。
余市は アイラに 似ているといわれるのは
この日本海に面していることが 影響しているのでしょう。
そして 私 全然知らなかったのですが
ドラマでも 盛んにでていました、
ポットスチルでの 蒸留風景。
スコップで、せっせと 石炭をくべているシーン。
余市蒸留所にある
「石炭直火焚蒸留」釜。
実際に使われているものです。
昔は
もちろん スコットランドでも 石炭直火 だったんでしょうが、
残っているのは 現在この余市蒸留所だけ だそうです。
この「石炭直火蒸留」は
温度調節が難しいそうですが
1200度の火力で
釜の底も 焦げるので
チョコレートや 麦茶のような
芳ばしい香りと
力強い味わいが でるとのこと。
ここ数年
ニッカウヰスキーが 世界的コンテストで入賞し、
注目されているのは、
ひとつに この蒸留方法のせいなんですって。
最近 スコットランドでも 見直しの動きがあり、
石炭は無理だから
ガスバーナーでの直火蒸留にするというところもあるのだとか。
現在 ニッカのウィスキーは
主に
北海道の余市蒸留所 と
宮城県の仙台市にある宮城峡蒸留所 で
醸造・蒸留されています。
「余市」で 蒸留された原酒は 「磯の風味」
一方
「宮城峡」で 蒸留された原酒は 「森の風味」
と 対比されます。
仙台市青葉区にある宮城峡蒸留所は
広瀬川と新川というふたつの清流に恵まれた緑豊かな峡谷にあります。
針葉樹に囲まれていて
その針葉樹からは
フィトンチッドという成分がもたらされ
ウィスキーの風味にも 豊かな風味を与えます。
マッサンが 生前
本田さん達 従業員に
「余市で スコットランド 114の蒸留場の 味わいを表現しろ。
宮城峡で ローランドの味わいを 表現しろ」
と 言っていたそうです。
「異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」という信念を
マッサンは持っていたのです。
ドラマ「マッサン」で マッサンが グラスを手に持ち
真剣に ウィスキーの香りを
嗅ぎ分けているシーン 印象的でしたね。
我が家の 小4の息子も
麦茶で 「マッサンのマネ」といって
グラスを握りしめています。
主演の玉山鉄二さんに
この ティスティングのやり方を
指導したのも 本田さんだそうです。
マッサンは
この グラスを両手で包むようにして ティスティングすることにこだわっていたそうです。
なぜなら
これも 本場 スコットランド仕込だから。
北緯50度~60度に位置するスコットランドは
夏でも15度ほどしか
気温が上がらないのだとか。
その気温のなか
蒸留所で ティスティングし、香りを判別するには
手のひらで ウィスキーを 温めて
香りを立たせなくてはいけないのだそうです。
この「マッサンポーズ」
本田さんは もっと 流行らせたいのだとか。
皆さんも 真似してみて下さいね。
そうして
もう一つ ドラマ「マッサン」のこぼれ話を。
今年のお正月を挟んで
舞台が大阪から
余市に変わり、
もう一つ変わったものがあるんですって。
皆さん、分かりますか?
答えは
「ウィスキーをティスティングしているグラス」
大阪の鴨居商店では
ワイングラスが原型で
口のところがまっすぐになって下が膨れんでいる。
余市では
口のところから緩やかにに膨らんでいる。
グラスについても
NHKから貸与の依頼があったそうです。
すごく本物にこだわったドラマ作りなんですね。
そして
それに助言された本田さんて スゴイ!
グラスについては
私も再放送を 観る機会あれば チェックしたいと思います(笑)
今日のお話をつまみに
今夜も ウィスキーをお楽しみください。
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