斜陽傾向が続いていた清酒市場ですが、2011年は16年ぶりに出荷量を前年対比で増加させました。
「酒類食品統計月報」2012年2月号より
2011年(1月~12月)の清酒課税移出数量は60万1093kl(333万2158石)、前年比101.4%と16年ぶりに増加しました。調査した上位80社の出荷動向の中で22社が前年実績をクリア。2008、2009年が9社、2010年が12社だったことを振り返ると、ほぼ2倍近い酒蔵が前年超えしました。
前年超えした22社のうち東北勢は10社を占めており、とくに首都圏等に販路を持つ銘柄が伸びました。背景には震災による市場環境の変化があったようです。
造り別の数量をみると吟醸酒102.7%、純米吟醸酒105.3%、純米酒101.8%と特定名称酒と呼ばれる高ランクのお酒が支持されました。
蔵ごとにみると吟醸酒の出荷量でダントツの1位は埼玉県が誇る世界鷹小山家グループさん。この蔵の吟醸酒部門は毎年2ケタの増加をみせており、おいしい吟醸酒が一升で2千円レベル、四合で千円レベルの割安感はやっぱりスゴイですね。
2位は「久保田」で有名な新潟県の朝日酒造さん。前年対比で85%と減少気味ではありますが、金額ベースでは吟醸酒部門でトップかも知れません。
3位は「上善如水」で有名な新潟県の白瀧酒造さんで前年対比104%。吟醸酒では3位ですが、その中の純米吟醸酒ではトップの酒蔵さんです。
4位は山口県の「獺祭(だっさい)」で前年対比130%。その前の年には176%と、吟醸酒市場の風雲児ともいえる飛躍ぶりです。
清酒の輸出も伸びており数量101.8%、金額103.2%と金額の伸びの方が数量の伸びを越えており、国内と同じく特定名称酒の伸びがより大きかったと推測されます。
輸出先はアメリカがダントツの1位で2位の韓国と合わせると数量、金額ともに輸出全体の約半分。3位4位の台湾、香港を合わせれば全体の約75%で、上位4ヶ国に輸出はほぼ集中しているようです。
伸びが大きい国はタイやベトナムなどのアジアの新興国が目立ちます。逆に7位の中国は前年対比数量60%、金額58%と大幅に減少しているのが気になります。
2010年をボトムとして清酒市場は「真の需要底打ち」となるのか?
国内では人口の減少と、高齢化、可処分所得の減少など、酒類業界全体にとって順風満帆とは程遠い状況が続いております。しかし、2011年の震災からの復興支援をきっかけに、清酒の良さのが見直しされれば、大きな需要の増加はないとしても、蔵ごとでは注目されるところがさらに出てくるのではないでしょうか。
最近はお寿司屋さんからも「日本酒を飲む人が最近ちょっと増えたんだよね~!」との話を耳にします。鹿児島の甘いお醤油には、辛口の芋焼酎のお湯割りが良く合うように、本州の辛いお醤油には清酒が良く合うんですよね~!特にお刺身系には。
日本酒は日本で飲むのが一番安くて美味しいのです。もっと日本人は日本酒を楽しんでも良いのかも知れませんね!
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