中華系が主導した2011年6月のボルドーワイン・バブルのピークから6年以上経過。
2014年7月に底入れしたとみられるボルドーワインをメインとする高級ワイン市場は、再び上昇傾向にある。ワイン価格を上昇させた一因の背景には、英ポンド安や人民元安、世界的なカネ余りなどのマクロ経済からの影響がある。
そんな金融市場の混乱は、ワインの収集や投資にどう影響を与えるのか?
また、高級ワインの業者間取引サイトであるLiv-exでは、いったい何が起きているのか?
そして、ワイン価格はこの先値上がりするのか?
・・・・・・・・等々、そんな高級ワイン取引の状況を、酒屋のオヤジなりに推察します。
【ワイン・インデックス2012年9月から2017年9月末までの推移】
高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、前月末から0.2%の値下がり。わずかな値下がりではあるが、前月比では今年二度目の値下がりとなった。
9月に値動きの大きかった銘柄はブルゴーニュ、シャンパーニュ、ボルドー、カリフォルニアと様々。
もっとも値上がり率の大きかった銘柄はブルゴーニュの「アルマン・ルソー・シャンベルタン2012」で6.8%上昇して1ケースは£11,146。7月に大きく値上がりしたが、その上昇傾向は継続しているようだ。
続いてカリフォルニアの「オーパス・ワン2013」で、8月に値を下げたが9月に切り返した。5.4%値上がりして1ケースは£2,801。割安感ある価格でリリースされた2014年ヴィンテージの引き合いが強いこともあり、値下がりしたオーパス・ワン最高評価の2013年ヴィンテージに割安感が出たようだ。
一方もっとも値下がり率の大きかった銘柄は、8月に大きく値上がりしたブルゴーニュを代表するワイン「DRCロマネ・コンティ2012」で、9.0%値下がりして1ケースは£112,931。日本円に換算すれば1ケースの価値が1ヶ月の間に約170万円減少したことになる。
続いてスーパータスカンの「サシカイヤ2013」で6.9%値下がりして1ケースは£1,280。
中国の国慶節を控える9月は、アジア勢からのLiv-exの取引シェアが40%を超えることもあったようだ。しかし、アジアからの買いが増えたにもかかわらずワイン・インデックスはじり安に推移した。
英ポンド建てで取引されるLiv-exのワイン価格を上昇させていた最大の要因である英ポンドの下落が、9月は上昇に転じたのだ。
もし、英ポンドが下げ止まった、もしくは上昇に転じたとすれば、もちろん英ポンド建てのワイン価格に影響はあるのだろう。
投機目的の保有も含まれているとみられるLiv-ex保管倉庫のワイン在庫量は大きく膨らみ上値は重い。さらには大量の高級ワイン需要があるとみられている国慶節も終わる。
そして、もし英ポンドが上昇に転じたとすれば、ワイン価格に対して強気にはなれない。
世界的なカネ余りの状況はまだ続いている。ブランドやヴィンテージごとの評価の違いなどで、割安感の出た銘柄に買いが入る傾向は続くとみられるが、インデックス・ベースでは徐々に値下がりに転じる可能性があるのかも知れない。
また、1937年の米国株の値動きと似たようなパターンとなる可能性もあるのかも知れない。
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カテゴリー:高級ワイン市況