中華系が主導した2011年6月のボルドーワイン・バブルのピークから4年以上経過。
2014年7月に底打ちしたとみられるボルドーワインをメインとする高級ワイン市場は、はたしてボルドーワイン・バブル崩壊の負の影響を払拭し、健全と呼べるような市場環境に戻ったのか?
昨今の世界の金融市場の混乱は、ワインの収集や投資に影響を与えるのか?
高級ワインの業者間取引サイトであるLiv-exでは、いったい何が起きているのか?
・・・・・・・・等々、そんな高級ワイン取引の状況を、酒屋のオヤジなりに推察します。
【高級ワイン・インデックスの2011年1月から2016年1月末までの推移】
高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、1月末の時点で241と12月末と比べて3ポイント(約1%)値上がりした。
株式、人民元、原油、銅などが、年初から急落を続け、まさに暗黒の1月といえるような景況感であったにもかかわらず、高級ワインのトップブランドは初っ端から値上がりした。
五大シャトーと呼ばれる最高各付けのボルドーワインや、トップブランドのブルゴーニュワインが値上がりしたのだ。
それも、Liv-exのビッド/オファー・レシオが100%を超えるような積極的な買いが入った。
50%以上で強気市場とされる水準を大幅に上回ったのだ。ビッドがオファーを上回るのは、中国のボルドーワイン・バブルに沸いた2010年7月以来はじめてのこと。
こんなマクロ経済が混乱した状況下で、いったい誰が買ったのか?
こんな混乱した状況だからこそ、中華系を買いに走らせたようだ。
ヨーロッパのワイン業界が年末年始の休暇から戻りきっていないまだ閑散とした市場で 、人民元の急落による人民元建てでのワイン価格急騰に焦った中華系から、2月の春節のための高級ワインの買い付けが一気に入ったと推測される。
中国で最も人気のあるワインブランドであるシャトー・ラフィット・ロートシルトの、最も価格の安い2012年ヴィンテージが積極的に買われていたようだ。
ではこの先、年初から堅調にスタートした高級ワイン市場は、このまま右肩上がりで推移するのか?
アン・プリムールが閑散に終わり、その後値下がり傾向にあるボルドー2013ヴィンテージのリリースが始まった。また、春節のための中国からの買いは終了している。
この先も上値は重いと推測されるボルドー2013年ヴィンテージが加わり、なおかつ春節などの特別な需要もなくなったのだ。インデックス・ベースでは上値の重い展開になるとみるべきでしょう。
ちなみに、2013年ヴィンテージのような、偉大なヴィンテージではないヴィンテージとは、いい方から順に「かわいい」「楽しい」「骸骨のよう」「軋んでいる(ギシギシと)」と業界の方々は表現されるのだそうだ。
だから、もし専門家の方から「このワインは”かわいい”タイプの味わいでして・・・・・」みたいな説明があったとしたら、ひょっとしたら”そういうこ”となのかも・・・・・・(汗)。
※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります
投稿日:2016年2月7日
カテゴリー:
高級ワイン市況