中華系が主導した2011年6月のボルドーワイン・バブルのピークから4年以上経過。
2014年7月に底打ちしたとみられるボルドーワインをメインとする高級ワイン市場は、はたしてボルドーワイン・バブル崩壊の負の影響を払拭し、健全と呼べるような市場環境に戻ったのか?
昨今の世界の金融市場の混乱は、ワインの収集や投資に影響を与えるのか?
高級ワインの業者間取引サイトであるLiv-exでは、いったい何が起きているのか?
・・・・・・・・等々、そんな高級ワイン取引の状況を、酒屋のオヤジなりに推察します。
【高級ワイン・インデックスの2010年11月から2015年11月末までの推移】
高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、11月末の時点で237と10月末と比べて3ポイントの値下がり。狭いレンジの中の推移ではあるが、2014年6月以来の大きな下げとなった。
Liv-exの取引で11月に最も値上がりした銘柄は「ギガル・コート・ロティ2010」。10月中旬から5.3%の値上がりで1ケース£2,955。
最も値下がりしたのが、9月に最も値上がりした「ドメーヌ・ポンソ クロ・ド・ラ・ロッシュVV2012」で10.5%値上がり、1ケースは£3,523。
また、このところ同じ満点評価の2009年ヴィンテージに比べて安いことから買われていた「Ch・モンローズ2010」も値下がりに転じ、10月の中旬から8.2%安の1ケース£1,503となった。
ユーロの下落に合わせてポンド建てワイン・インデックスは狭いレンジの中で値下がりし、その後12月に入って、ここ数日のユーロ急騰に合わせるように値上がりに転じている。
パリのテロ事件の影響も、この迫力に欠ける展開の原因なのかも知れない。
ボルドーワイン・バブルの崩壊以降、バイヤーの興味はボルドー以外に広がっているようで、今最も注目されているのがイタリアの2010年ヴィンテージ。
2010年ヴィンテージの「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」は以前から注目されていたが、それに加えて「バローロ」や「スパータスカン」の2010年ヴィンテージも注目されているとのことで、この一年で8%ほど値上がりしている。
また、シャンパーニュや11月に最も値上がりしたローヌ、カリフォルニアのカルト・ワインも注目されているとのこと。
Liv-exでのボルドーワインの取引金額のシェアは、ボルドーワイン・バブル時の95.7%から70%の前半レベルまで縮小し、2004年と同じぐらいのシェア水準。
ボルドーワインで割安感のあるものは買われるが、全体としては盛り上がりに欠けている。
また、ブルゴーニュの人気ワインは、引き続き引き合いが強く、価格は値下がりしそうにないようだ。
「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2010」は、ここ50年で三本の指に入る偉大な年なのだそうで、今後しばらくは最も注目されそうな気配。
今後しばらくはイタリア・ワインの2010年ヴィンテージをメインに、ボルドーやブルゴーニュ以外のワインが注目される状況が続くとみられる。
※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります
投稿日:2015年12月6日
カテゴリー:
高級ワイン市況