グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格は、ブラックマンデーすぐ後の1988年からインデックス・ベースで2011年6月まで約20倍に高騰。
ピーク時にはシャトー・ラフィット・ロートシルト2008ヴィンテージのボトルに、当時最大の販売先であった中国の繁栄の意味「八」を刻むとのニュースが伝わったことから、ラフィット2008が大きく買われ、グランヴァン市場の価格を一気に押し上げて相場のピークを形成。
その後は中国でのバブルの縮小と歩調を合わせるようにボルドーワインは値を下げ続けた。
中国が主導したボルドーワイン・バブルは2011年6月をピークに崩壊した。
今後は、「はたしてグランヴァン市場はバブル崩壊を乗り越えたのか?」みたいなことを酒屋のオヤジなりに推察したいと思います。今回はその45回目。
【グランヴァン(ほとんどボルドー)・インデックスの2010年3月から2015年3月末までの推移】
高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、3月末の時点で241.03と2月末から0.4%の値下がり。
ボルドー2014ヴィンテージのアン・プリムール(先物契約)を目前に控えていることや、100ポイントワインであるシャトー・ラトゥール2003のトランシェと呼ばれる、蔵出しリリースがリーズナブルであったことにより、2005、2009も合わせて値下がりしたことがインデックスの頭を抑えた。
他方、夏場に向けてバイヤーからのシャンパーニュの買いや、スーパータスカンのリリースにより若いヴィンテージが買われた。
Liv-exで値上がりの大きかった銘柄は、オルネライア2009 +5.3%、ソライヤ2010 +4.7%。値下がりの大きかったのはラトゥール2005 -6.5%、2009 -4%、D・ロマネ・コンティ2010 -5.6%。
現在、市場が最も注目しているのがボルドー2014ヴィンテージのアン・プリムール。
2014ヴィンテージは明らかに2011、2012、2013よりも品質は優っているのだが、2005、2009、2010ほどではないというのが、一致した評価。
ロバート・パーカー氏は「世紀の偉大なヴィンテージ以外でのアン・プリムールは機能しない」としているが、2014ヴィンテージに関しては、素晴らしくはあるが”世紀の偉大なヴィンテージ”とまでは、誰も思っていないようだ。
しかし、ラトゥール2003の今回のトランシェがすぐに売り切れたように、昨今のユーロ安で、なおかつアン・プリムール価格が魅力的な水準まで下がれば、アメリカやイギリスからの巨大な需要が存在することは間違いないようだ。
それでも、ここ数年のアン・プリムールの買いでは、その後の値下がりにより大損が発生しており、バイヤーにとっての魅力的な水準とは様々かも知れない。
また、Liv-ex の調査によれば、割高感のあるボルドーの若いヴィンテージの業者在庫が引き続き高水準にあるため、若いヴィンテージ・ワイン相場の頭は重く、在庫が動き出すには年月の経過か、価格の大幅な修正が必要とみられる。
2014ヴィンテージのアン・プリムールでのシャトーの出方にもよるが、引き続きボルドーワイン取引は、若いヴィンテージへの引き合いが少なく、評価の見直しやユーロ安などにより、2005ヴィンテージが引き続き取引の中心になりそうだ。
「グランヴァン(ほとんどボルドー)市場はオランダのチュウリップになるのか?」は、今回の45回目で終了します。中国のワインバブルが崩壊し、新たなステージに入ったと思われるからです。
次回からは「ハイエンド・ワイン市況分析」にタイトルを変えて、引き続き月に一度、酒屋のオヤジなりに推察してみたいと思います。
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投稿日:2015年4月4日
カテゴリー:
高級ワイン市況