非常に高額なワインの価格は横ばい。割安感あるワインが6月後半に買われました。
6月の後半に最も注目されたイベントが、2009年に続いて偉大な年となった2010年ヴィンテージの、ボルドーワインの「アン・プリムール」と呼ばれる先物取引でのシャトーからの初オファー。2009年ヴィンテージでも初値が高くて驚かれましたが、2010年 ヴィンテージは更に高い初オファーとなりました。
2009年ヴィンテージの初値よりも10%~20%高く、販売量も極少量。セカンド・ブランドではさらに値上げ率は高く40%~倍。生産者の出し値は非常に強気なのです!ちなみにボルドーの代表銘柄であるシャトー・ラフィットロートシルト2010の初オファーは1本600 ユーロ。
最近のボルドーワインの偉大な年は多く、2000年、2005年、2009年で、そこに2010年が加わります。市場では6月の後半に2010年ものの初値があまりにも強気のため、それ以前のヴィンテージに割安感が出て買いが入った様子。
ちなみに偉大な年のボルドーワインとは、主にワイン業界のグルともいえる米国人のロバート・パーカーさんが「この年は偉大だ!」と判断したワイン。最近では英国人のジャンシス・ロビンソンさんもそんな感じかも知れません。
このボルドー独特のワイン先物取引「アン・プリムール」は、ボルドーの生産者ばかりにメリットのある取引との批判もでております。最近では4回偉大なヴィンテージが生まれていて、どの年も素晴らしいのに価格は新しいヴィンテージの方が、初値はより高い方向へ生産者が一方的に上げているわけです。高い初値のオファーで販売量は少ない。証券業界ではマーケット・マニュピレーションになってしまいそうな取引なのです。
「殿さまが”殿さま商売”やって何が悪い!」みたいな印象なのです。しかも、本当にグランヴァンと呼べるようなワインが少数で少量なら話は分かるのですが、ボルドーにはいわゆる高級ワインが多過ぎるような気もします。
ここだけは世間で騒がれているヨーロッパの信用不安も無関係。ワインを消費する愛好家を無視して、ワイン生産者、ワイン投資家、ワイン投機家、のためのグランヴァン市場になってしまったのかも知れません。
味わいが良いと判断できる人は沢山おれれるのだと思いますが、その味わいに対してどんな価格が妥当なのかを説得力を持って説明できる人はいそうにありません。これには、その商品のブランド力や、投資に向かう可能性のある世の中の余剰資金が大きく関わっているからです。
賢明なワイン愛好家は他の地のワインに楽しみを見出すのが良さそうですね。
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