グランヴァン(ボルドー高級ワインがメイン)価格はブラックマンデーすぐ後の1988年からボルドーワインのインデックス・ベースで2011年までに約20倍まで高騰。はたしてグランヴァン市場はバブルなのか?もしそうなら、今後そのバブルは崩壊するのか?を酒屋のオヤジなりに考えます。今回はその16回目。
”フィナンシャルタイムズがルクセンブルグの大手ワイン投資ファンドの評価額に疑問!”
2008年より運用を始めたその大手ワイン投資ファンドが保有しているワインの年間のリターンは13%で、1億9百万ユーロに資産評価額は拡大。この好調な運用成績がヨーロッパの投資家からの資金を集めているのだそうだ。
保有するワインは54,000本。そのワインの中のボルドーワインだけでも2千6百万ユーロの価値があるのだとか。また運用を開始して以来、毎月そのワイン投資ファンドは保有ワインの価値が高くなっていると報告している。
これに対しベルギーの金融アナリストは、このワイン投資ファンドの報告は現実がまったく反映されていないとコメント。一般的なワインの評価価格の基準にされている高級ワイン取引所 Liv-ex の価格からファンドの評価価格が大きく乖離しているのです。
例えばシャトー・ラフィット・ロートシルト1996の場合、Liv-exの価格が855ユーロなのに対し、そのファンドの付けた評価価格は1,718ユーロで、倍以上の開きがある。Liv-exはB to Bの取引なのだが、それにしてもファンドの評価価格の設定方法は不可思議。
またボルドーワインが値下がり傾向にある中、ボルドーワインを多く保有するファンドのパフォーマンスが向上し続けていることも不自然と言えます。
ワイン投資ファンドは投資対象となるワインをただ保有し続けるわけではなく、最終的には高値で売り抜けて利益を出すことを目的としています。ワインを保有し続け独自の資産評価基準で資産価値を高め続ければ、将来的には恐ろしい状況に陥るとも想像できるわけです。
また投資家からの不審を買い解約請求が多く発生した場合には、保有ワインの精算が必要となる可能性もあります。
ボルドーワインの相場水準は高値から3割ほど値下がりしましたが、まだまだ歴史的には高値の水準にあります。そんな中、ワイン投資ファンドは2005年の後、2009年、2010年と連続した偉大なヴィンテージで、ファンドの運用資金は、目一杯ワインの保有に向けられている様子。
現在の世界経済の状況を考慮すれば、ファンドにとって今の相場水準でワインを売り抜けられればハッピー。かと言って値崩れを起こす様なことは避けたいわけで、ワイン市場は売り手の多い印象の、なんとも頭の重い”危険な香りのワイン市場”と言えそうです。
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カテゴリー:高級ワイン市況