中華系が主導した2011年6月のボルドーワイン・バブルのピークから6年以上経過。
2014年7月に底入れしたとみられるボルドーワインをメインとする高級ワイン市場は、再び上昇傾向にある。ワイン価格を上昇させた一因の背景には、英ポンド安や人民元安、世界的なカネ余りなどのマクロ経済からの影響がある。
そんな金融市場の混乱は、ワインの収集や投資にどう影響を与えるのか?
また、高級ワインの業者間取引サイトであるLiv-exでは、いったい何が起きているのか?
そして、ワイン価格はこの先値上がりするのか?
・・・・・・・・等々、そんな高級ワイン取引の状況を、酒屋のオヤジなりに推察します。
【ワイン・インデックス2007年8月から2017年8月末までの推移】
高級ワインの業者間取引サイトである Liv-ex の指数「Liv-ex Fine Wine 100」は、前月末から0.47%上昇。2011年9月以来の高値にある。
7月から8月にかけてもっとも値上がり率の大きかった銘柄は、ブルゴーニュワインのみならず高級ワインを代表する銘柄である「DRCロマネ・コンティ2012」で13.7%値上がりして1ケースは£124,049。続いて同ブランドの「DRCリシュブール2012」で10.9%値上がりして1ケースは£18,044。
また、イタリアのスーパータスカンも値上がりした。
一方もっとも値下がりした銘柄はペサック・レオニャンの「Ch・ミッション・オーブリオン2010」で6.6%値下がりして1ケースは£4,400。続いてこのところ値上がりしていたカリフォルニアのカルトワイン「スクリーミング・イーグル2013」で6.4%値下がりして1ケースは£22,092。「オーパス・ワン2013」も4.0%下げて1ケースは£2,658となった。
世界的なカネ余りによる過剰流動性は、より知名度があり、より供給の限定されているワインに流れているようだ。
投機目的の保有も含まれているとみられる、Liv-ex保管倉庫のワイン在庫量が大きく膨れ上がっているためなのか、より供給量が限定的な、多くの人にとって価値観が共有されているブランドが買われたようだ。
もうすでに十分に高価なDRCロマネ・コンティが1ヶ月で13.7%も値上がりするのだから、このカネ余りのパワーは凄まじい。それでも、1ケース£124,409を円換算すれば約1800万円であり、飲むためのワインとしては高価過ぎるが、投資目的の美術品と考えればまだ安いのかも知れない。
投機目的も含むワイン在庫の増加は上値が重いことを意味する。しかし、だからと言ってすぐに値下がりに転じる気配はなさそうだ。
ヘッジ・ファンド業界の大物が、現在の米国株の状況は暴落寸前の1937年に似ているとしているのだそうだが、そのチャートパターンを見れば、米国株よりもむしろワインインデックスに似ているように個人的には思う。
バブル形成後の戻り高値を形成しているパターンだ(上の写真)。
1937年の米国株は、世界大恐慌の後の金融緩和によって形成された上昇相場とのこと。
利上げの動きは、高級ワイン市場にとっても危険な香りなのかも知れない。
※こちらの商品は現在取り扱いがない場合があります
カテゴリー:高級ワイン市況